相続トラブルを防ぐために
1 遺言書を作成しましょう
被相続人が遺言書を作成しなかった場合には、民法の法定相続分に従って遺族の間で相続財産を分けることになります。
ところが、法定相続といっても抽象的な相続分の割合でしかないので、例えば相続財産に預金や不動産、株券、貴金属類といったものが多数ある場合、これらを具体的にどう分けていくのかは相続人全員で遺産分割の協議を行って決める場合が少なくありません。
もちろん、全ての遺産を法定相続分の割合で分けることができれば良いのですが、やはり遺族の間で必ずといって良いほど「この財産はいらない。」、「この財産は欲しい。」、といった要望がぶつかり合うことになります。
当事者間での遺産分割協議がまとまるにこしたことはないのですが、遺族間の関係が次第にギスギスするようになり、協議がまとまらなくなって、あげく顔も見たくないと言い出す事例は決して珍しいものではありません。
また、被相続人と苦労や困難を共にして頑張ってきた相続人と、家に寄りつきもせず、好き勝手にふるまってきた相続人の間で相続分に差が付かないのは、不公平に思う相続人が出てくる可能性もあります。
遺言者が、ご自身の家族や財産の状況に会わせて、相続の内容を遺言書できちんと決めておくことは決して無駄にはなりません。
2 公正証書遺言にしましょう
当事務所では遺言書を作成する場合は公正証書による遺言を強くお勧めしております。
公証人は、長年に亘って法律実務に携わってきた法律の専門家で、正確な法律知識と豊富な経験を有しています。
そのため、遺言書の方式に法律上の不備があるとして遺言書が無効になるおそれはまずないといって良いでしょう。
また、公正証書遺言は、家庭裁判所で検認の手続を経る必要がないので、相続開始後、速やかに遺言の内容を実現することができます。
公正証書の原本は公証役場に保管されますので、遺言書の破棄や改ざんのおそれもまず全くありません。
以上のとおり、公正証書による遺言は、自筆証書遺言と比較すると、かけた費用と労力を補って余りあるメリットが多いといえます。
なお、公正証書による遺言の作成を弁護士に依頼する場合、費用について別途、公証役場に支払う手数料が必要となります。
手数料の金額は日本公証人連合会のHP(2014年9月1日現在)によりますと、以下のとおりとなっております。
目的財産の価額 |
手数料の額 |
100万円まで |
5000円 |
200万円まで |
7000円 |
500万円まで |
11000円 |
1000万円まで |
17000円 |
3000万円まで |
23000円 |
5000万円まで |
29000円 |
1億円まで |
43000円 |