債務整理の種類とメリット

 
債務者が、返すことができなくなるほどの借金を抱えてしまったときに、解決の方法としては以下の4つが挙げられます。

・自己破産
・任意整理
・民事再生
・特定調停

これらの手続は、借金を支払い続けていくのか否か、裁判所を利用して手続を行うのか否かといった違いがあります。
 

1 自己破産

自己破産は、多額の借金によって債務者が自己の所有財産や収入では全ての債務を完済することが不可能な状態に陥った場合に(支払不能状態)、裁判所に対して破産申立てを行い、破産手続開始の決定を受け、同時に、裁判所から免責を許可されれば、税金や養育費といった一部の債務を除き借金の支払いが免除される手続です。

自己破産の主なメリットとしては、破産を申立てている間は、債権者による取り立て行為がなくなることや申立てをしている最中の債務の弁済の停止、免責を受けた後の返済の免除が挙げられます。

自己破産の主なデメリットとしては、債務者の財産は一定額の財産を残して全て処分されてしまうこと、信用情報機関に登録されることで一定期間(おおむね5~7年)ローンが利用できなくなること、免責が確定するまでの間、一定の職業に就くことができないこと、官報に名前が掲載されることなどが挙げられます.
 

2 任意整理

任意整理は裁判所を介さずに、弁護士や司法書士が債務者の代理人となって各債権者と話し合い、おおむね3年から5年以内に債務を分割完済することを前提として、返済金額の減額の合意を結ぶ手続です。

任意整理の主なメリットとしては、弁護士や司法書士が介入通知を出すことで債権者からの取り立てが止むこと・利息制限法による引き直し計算により債務が減ることや、過払い金の回収ができる可能性があることが挙げられます。

任意整理の主なデメリットは、信用情報機関に登録されること、一部の債権者との交渉が不調に終わった場合であっても別の借金整理の手続を検討しなくてはならないことです。
  

3 民事再生

民事再生とは、支払不能状態に陥る恐れがある場合に、裁判所に申し立て、原則3年以内に法律に則って減額した債務を返済し、その余の債務は免除してもらう手続です。

民事再生の主なメリットとしては、債務の元金が大幅に圧縮できること、住宅資金特別条項を活用することによって住宅を手放さずに債務整理ができること、自己破産と違い資格制限がないこと、免責不許可事由がないため浪費・ギャンブルといった事由で債務を抱えてしまった場合であったとしても要件に合致さえすれば民事再生が可能なことが挙げられます。

民事再生の主なデメリットとしては、信用登録機関に登録されること、債務総額が住宅ローンを除いて5000万円以上ある場合、民事再生を受けることができないこと、また、手続や必要書類が非常に複雑で、本人が申立てをした場合であっても費用が高額になることが挙げられます。
 

4 特定調停

特定調停とは、裁判所から選任された調停委員が債権者と交渉する手続をいいます。

特定調停の主なメリットとしては、弁護士や司法書士に依頼をしなくても済むので費用を安く抑えることができること、資格制限がないことが挙げられます。
   
特定調停の主なデメリットとしては、調停成立後、返済が滞った場合には合意した内容に基づいて即、強制執行をされる可能性があります。
また、本人が申立てをした場合、調停が行われる裁判所に出向く必要があります。
また、信用情報機関に登録され、過払い金があったとしても回収はできないことが挙げられます。

 

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