債権回収について

第1 債権回収の方針について

福井県の債権回収について債権回収のための法的な手段は幾つかありますが、費用も時間もそれなりにかかってしまうので、債権額が小額であればあるほどコスト倒れになる可能性が高いです。

いきなり法的手続を採るのではなく、まずは相手方に自発的に支払ってもらうことが基本方針となります。
 

第2 債権回収の種類について

債権回収には様々な手段があり、以下で述べるものはその一部ですが、相手方の言い分や資力の有無、採り得る手段にかかる費用や時間を踏まえて最善の方法を考えていく必要があります。
 

(1) 内容証明郵便による回収

相手方に請求書を何度、送っても反応がない場合や合理的な理由なく支払いをしない場合には、相手方に対して本気で回収をするという姿勢を知らせる段階にあるといえます。

また、消滅時効が間近に迫っているような場合には発送日や文書の内容が証明される内容証明郵便(配達記録付)による督促をしておきましょう。

内容証明郵便での請求には何ら法的な強制力はありませんが、内容証明郵便を送付することにより、本気で債権を回収するという姿勢を相手に知らせることができます。

特に弁護士や司法書士など専門家の名前が入っている場合、相手に心理的なプレッシャーを与えることができるので債権回収の王道ともいえる手段です。
 

(2) 支払督促手続による回収

支払督促とは、金銭及び有価証券について相手側が支払わない場合に、相手方の住所地を管轄する簡易裁判所書記官に申立てを行い、書面審査のみで支払督促状を相手方に発布する手続です。

相手方に支払督促が送達され、相手方が異議を述べることなく2週間が経過すれば、債権者は強制執行手続に着手することが可能となります。

しかしながら、相手方が所在不明な場合はこの手続は使えませんし、相手方から異議がでた場合は通常訴訟に移行するため、 かえって時間や労力がとられる可能性があります。

(3) 民事調停手続による回収

相手方にも一定の言い分があり、中立・公平な第三者を交えて、話し合いによる債権回収を図る場合には民事調停(裁判所での話合い)の利用が検討されます。

調停が成立すると「調停調書」が作成されますが、この調書をもとに債権者は強制執行手続に着手することが可能となります。

しかしながら、調停手続はあくまで話合いのため、相手方が出頭しなければ成立しませんし、不当な引き延ばしにあう可能性もあります。
 

(4)訴訟手続による回収

債務者と折り合いがつかない場合や債務者が不合理な言い訳に終始しているような場合、事実関係について白黒をはっきりとつけ、強制執行手続に着手できるようにするために民事訴訟を提起することがあります。

訴訟手続は解決までに時間がかかることが一般的ですが、訴訟手続の途中で債務者が和解の申し入れをしてくるケースも少なくありませんし、事案によっては1回目の審理で終わることもあります。

なお、60万円以下の金銭の支払を請求する場合に少額訴訟手続という、原則として1回の審理で終了する特別な手続がありますが、相手方が通常訴訟への移行を求めた場合には通常訴訟へと移行されますので、最初から訴訟をした場合に比べて、時間と費用を浪費してしまう可能性があります。

そのため、最初から通常訴訟手続を提起した方が簡便なことが多いです。
 

第3 債権別回収のポイント

1 売掛債権

売掛債権にはさまざまな種類があり、商売をする上で発生する一般的な売掛債権は5年間で時効消滅しますが、売掛債権の中には1年~3年という極めて短い期間で消滅時効が完成してしまうものもありますので債権の管理には注意が必要です。
   

2 賃料債権

賃貸人を悩ませる問題の一つに賃借人の賃料不払いの問題があります。

賃料の支払いが遅れがちで滞納が続いていた賃借人を大目に見ていたばっかりに、ある日、突然、夜逃げをされたり、破産申立てをされたりして未払賃料の回収ができずに涙を呑んだという相談事案が少なからずあります。

こうした事態を回避するために、賃貸人としては滞納賃料額が無視できなくなる前に早期に債務者あるいは保証人から債権回収を図る必要があります。
また、賃貸人は場合によっては賃料不払いを理由とする賃貸借契約の解除を検討する必要があるでしょう。

とはいえ、賃貸人が賃貸借契約を解除するには賃借人との信頼関係が破壊されたと評価されなくてはならず、容易に解除が認められるものではありませんし、賃借人や保証人に資力がなく回収見込みがないケースも少なくありません。

賃貸人としては未払賃料の減額をするなどして、賃貸物件からの早期の立ち退きを求める方が経済的にみて良い場合もあり得ます。

なお、未払賃料の消滅時効は5年です。
 

3 債権回収と未払診療報酬

未払診療報酬の消滅時効は3年であり、債権回収の方法については他の債権と大きく異なるところはありません。
  
債権者の病院としては、債権回収に乗り出すことで治療を受ける患者との信頼関係への影響が気になるところだと思いますが、合理的な理由もなく未払いとなっている診療報酬を放置しておくことは病院の経営上、決して良くはありませんし、未払いがあることでかえって病院と患者の間の信頼関係に悪影響を及ぼしかねません。
     
病院は、正当な診療報酬の請求を諦めるようなことがあってはならないでしょう。
 

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