未払賃金・未払退職金がある方へ
第1 未払賃金の請求について
使用者は、労働基準法では原則として休憩時間を除く時間、1日8時間、週40時間を超えて従業員を働かせてはいけないとされており、これを超えて働かせる場合には時間外労働協定(36協定)を締結し、労働の対価として残業代を支払わなければなりません。
しかしながら、使用者と労働者の間で時間外労働を無休で行うことが暗黙の了解とされている職場が多いのが現状です。
本来使用者は労働者の時間外・深夜・休日労働に対して、通常の賃金に法律で定められた割増率の範囲内で上乗せした割増賃金を支払う義務がありますし、逆に時間外・深夜・休日労働をした労働者は会社に対して未払となっている賃金を請求する正当な権利があります。
労働者は、時間外・深夜・休日労働を行った事実が証明できれば、退職した後でも、その割増賃金を請求することができます。
また、本来の支払われるべき期限に賃金が支払われていないわけですから法律上、遅延利息も請求できます。
なお、未払賃金は2年を過ぎると時効が成立して請求できなくなりますので注意が必要です。
第2 未払退職金の請求について
退職金とは、雇用契約が終了した際に労働者に対して支給される金銭その他の給付のことをいい、労働の対価として支払われる賃金(給与)とは異なり、必ず支払われるものではありません。
退職金の制度を設けるか否かは使用者の裁量事項であり、退職金制度を設けるのであれば、退職金の支給の金額,時期,条件等について労働契約や就業規則で定めておく必要があります。
使用者が退職金制度を就業規則等で設けた場合、規則等で支給条件が決められた退職金を支払うことは使用者の義務となります。
さらに、規則等で定められた退職金は労働の対価である賃金に該当しますから、法律上、賃金と同じ制約を受けることになります。
そのため、労働者は退職金を通貨で直接、全額支払うことを請求することができます。
なお、未払退職金は5年を過ぎると時効が成立して請求できなくなりますので注意が必要です。