⑥よくある法律相談(その他)
運転中の携帯電話(スマホ)使用のペナルティ
車を運転中に携帯電話やスマホを使用していたら警官に見つかってしまい、反則キップを切られて苦い思いをされた方は意外と多いのではないでしょうか??
運転中に携帯電話やスマートフォンを操作することが禁止されている理由は単純明快です。
・片手運転となり、運転操作が不安定となる。
・会話に気がとられたり、画像を注視することにより、運転に必要な周囲の状況に対する注意を払うことが困難となる。
ちょっと考えれば分かりますよね?( ⊙ ‿ ⊙)フッ
なんで僕がこんな偉そうな物言いができるのかというと、僕が違反歴ゼロのゴールド免許保持者だからなんです!!( ´ー`)ドヤァ
さてそれでは、運転中に禁止されている携帯電話やスマートフォンにまつわる「行為」にはどんなものがあるのでしょうか?
ポイントとなる条文は「道路交通法71条第5号の5」です。
自動車又は原動機付自転車(以下この号において「自動車等」という。)を運転する場合においては、当該自動車等が停止しているときを除き、携帯電話用装置(略)を通話のために使用し、又は当該自動車等に取り付けられ若しくは持ち込まれた画像表示用装置に表示された画像を注視しないこと。
なるほど、、、禁止されている行為は、
①スマホや携帯電話といった機器を通話のために使用すること NG!
②車内に持ち込まれた画像表示用装置(スマホや携帯のことをこうとも言うのですね!)を注視(「見続けること」)すること NG!
なんですね。
条文上は、赤信号待ちの最中(停車中)の使用あるいは画面の注視、「注視」に至らないチラ見、単に持っていただけ(「保持」していただけ)なんかは禁止行為の対象から外れているようにも思えますが、まあ筋悪な主張になりそうなので、運転手は携帯イジリは止めておいた方が良いでしょう。
それから、じゃあカーナビを見るのはどうなんだ!、「注視」以外のなにものでもないだろう!と思われた方もいるでしょう。
これには、ちゃんと警察庁から通達が出ておりますので、現場の警察官は、通常のカーナビ使用はセーフという扱いをしているんですね。
画像表示用装置のうちカーナビゲーション装置は、経路情報等の交通情報を表示する運転支援装置であり、表示された画像の一瞥を数回繰り返すことにより情報が分かる装置となっている。通常の使い方をする限りは禁止されないが、これを超えて画像を見続ける行為は禁止の対象となる。
(H11.9,22警察庁交通局長通達(丙交企発第89号外))
カーナビは「注視」するものではなく「一瞥」するものである、という論法に私は感動すら覚えました。
ちなみに運転中の携帯電話使用のペナルティとして、5万円以下の罰金に処する、という罰則規定があります。
道路交通法120条
次の各号のいずれかに該当する者は、五万円以下の罰金に処する。
11 第71条第5号の5の規定に違反して無線通話装置を通話のために使用し、又は自動車若しくは原動機付自転車に持ち込まれた画像表示用装置を手で保持してこれに表示された画像を注視した者
また、通常は反則金や点数を引かれる方がイタイですね。
反則金の金額
大型車 7,000円
普通車・自動二輪車 6,000円
原付車 5,000円
反則点数 1点
※事故を起こすと2点引かれます
時間があればついつい携帯やスマホをいじってしまうのは、もはや現代人のクセというか習慣といってもよいでしょうし、車内なら何をしてもバレないだろうと思いがちです。
ですが意外と車内の様子というのは周囲から見えているものです。
車内では、携帯電話やスマートフォンの操作は、グッと我慢するに越したことないですね(゜-゜)
(参考:沖縄県警察HP)
チャイルドシートの使用義務
この週末は実家に帰省していました。
お袋さんの車で移動中、チャイルドシートの使用義務が話題にのぼると、予想通り「あれれ!?ここに法律に詳しい人(僕のことです)がいるぞ~」と話をふられました。
もちろん法律家として僕は、、、即答できるわけがありません。
チャイルドシートなんていうのはシートベルトが着用できないうちはずっとしておけば良いんだよ、と個人的には思っています。
で、咄嗟にでた答えは「ググって(検索エンジンで検索!検索!の意)みれば一発だよ!」でした。
法律相談会でいつもそんな受け答えをしているのかと心配されましたが、そんなわけありません。
帰福した後もなんだかもやもやしたので調べてみました。
チャイルドシートに関して規定しているのは道路交通法です。
(普通自動車等の運転者の遵守事項)
同法第七十一条の三
3 自動車の運転者は、幼児用補助装置(幼児を乗車させる際座席ベルトに代わる機能を果たさせるため座席に固定して用いる補助装置であつて、道路運送車両法第三章 及びこれに基づく命令の規定に適合し、かつ、幼児の発育の程度に応じた形状を有するものをいう。以下この項において同じ。)を使用しない幼児を乗車させて自動車を運転してはならない。ただし、疾病のため幼児用補助装置を使用させることが療養上適当でない幼児を乗車させるとき、その他政令で定めるやむを得ない理由があるときは、この限りでない。
ここにいう「幼児用補助装置」がチャイルドシートのことを指しています。
ではチャイルドシートの使用が義務付けられている「幼児」とは一体、何歳の子を指しているのでしょうか??
同法第14条
3 児童(六歳以上十三歳未満の者をいう。以下同じ。)若しくは幼児(六歳未満の者をいう。以下同じ。) ~以下略~
なるほど!!「幼児」とは6歳未満の子をいうのですね。
ちなみにチャイルドシートの使用義務違反は1点の減点のようです。
また、チャイルドシートの着用を免除される場合が道路交通法施行令によって規定されています。
3 法第71条の3第3項ただし書の政令で定めるやむを得ない理由があるときは、次に掲げるとおりとする。
一 その構造上幼児用補助装置を固定して用いることができない座席において幼児を乗車させるとき(当該座席以外の座席において当該幼児に幼児用補助装置を使用させることができる場合を除く。)。
二 運転者席以外の座席の数以上の数の者を乗車させるため乗車させる幼児の数に等しい数の幼児用補助装置のすべてを固定して用いることができない場合において、当該固定して用いることができない幼児用補助装置の数の幼児を乗車させるとき(法第57条第1項本文の規定による乗車人員の制限を超えない場合に限る。)。
三 負傷又は障害のため幼児用補助装置を使用させることが療養上又は健康保持上適当でない幼児を乗車させるとき。
四 著しく肥満していることその他の身体の状態により適切に幼児用補助装置を使用させることができない幼児を乗車させるとき。
五 運転者以外の者が授乳その他の日常生活上の世話(幼児用補助装置を使用させたままでは行うことができないものに限る。)を行つている幼児を乗車させるとき。
六 道路運送法第3条第2号に掲げる一般旅客自動車運送事業の用に供される自動車の運転者が当該事業に係る旅客である幼児を乗車させるとき。
七 道路運送法第78条第2号又は第3号に掲げる場合に該当して人の運送の用に供される自動車(特定の者の需要に応じて運送の用に供されるものを除く。)の運転者が当該運送のため幼児を乗車させるとき。
八 応急の救護のため医療機関、官公署その他の場所へ緊急に搬送する必要がある幼児を当該搬送のため乗車させるとき。
使用義務が免除されるいずれのケースも合理的であるといえるでしょう。
他方、子どもが嫌がるからチャイルドシートを使用しないケースは少なくないように思えますが、バッチリ違反なので安全のためにもちゃんと使用しましょう|д゚)
今度は告訴状が届きました(架空請求)
先日のコラムで100%架空請求メールで間違いないと断言した案件ですが、同じ業者から今度は「告訴状」が届きました。
本来、告訴状がなんたるかの説明は省略しますが、少なくともサイトからの退会手続に用いられる性質のものではありません。私宛に提出するものでもありません。
さらにメールを送られた方は「私としてはいかに負担なく貴殿をお救いする方法がないか検討した結果今回のご提案」に至ったそうです。
本当に大きなお世話です。ありがた迷惑です。あなたに救ってもらいたい、とはこれっぽっちも思いませんし、頼んだ覚えもありません。
ちなみに日本中のどこを探してもコンビニのネットプリカとカメラを用いて債権回収を図ろうとする弁護士の先生はまずおりません。
繰り返しになりますが、こうした身に覚えのない架空請求メールは「無視」が鉄則となります!
もしかして・・・という心当たりがある方も慌てて業者に連絡をとるのではなく、まずは関係各機関に相談してください。
ちなみにメールの最後に期限内に振り込まないと私の銀行口座が凍結される、と書いてありました。
私は業者が指定した期限を渡過した後にATMへ行き、凍結されたはずの口座から下したお金で美味い回転寿司を頂きました。
架空請求なんてこんなものです(゜-゜)
またまた裁判?を起こされました(架空請求)。
情報サイトの退会手続をしていないという理由でまたまた本日中に金銭を支払え、との架空請求メールが届きました。
担当者がFさんからTさんに変わっただけで内容はまったく代わり映えがしません。
添付されている「訴訟通知書」なる書面は相変わらず内容が意味不明です。
代理人弁護士さんの事務所も名前も書いてありません。
でもなぜか認印は押してあります。
私が「反省し解決する意思を示した」ら、どうも訴訟の申し立てを取り下げてくれるみたいです。紛争解決に向けて金銭請求ではなく反省の態度を求めてくる当たりが極めて斬新です。
管轄裁判所もわからずこれでは対応の仕様がありません。
しかも、裁判になった場合は何故か借家権がはく奪されてしまう(要するに私は住まいのアパートを追い出されてしまう!)ようです。
Why??
このメール、ハッキリ言うと架空請求メール以外の何物でもありません。
なので無視して構いません。ちなみにこのサイトをどんどん読み進めていくと退会手続をとるから5000円振り込め、という流れになります。しかもコンビニ決済可能なんだそうです。
具体的にはプリペイドカードを購入させ、プリペイド番号の写真を指定のアドレスに送らせる、という仕組みになっています。
不安感をあおるだけあおり、すぐにでも手元にある金額で解決できる、しかもネットプリカを利用させることでアシがつかない、というのがミソなのでしょう。
皆さんはこうしたメールが送られてきても無視するか、どうしても心配なら最寄りの警察署,弁護士会などにご相談ください。
架空請求に騙されないでください。
私の携帯にまたまた「支払督促状」のメールが届きました。
本文を要約すると、私が過去に登録したとされているサイトの退会申請がされておらず、放置されたことに対する延滞金が発生し、その回収ために弁護士が代理人として動いており、債権確認の前提のために債権回収法人が運営元から委任を受けてメールを送ってきたらしいです。
要約しても意味不明です。法的にみてもお話になりません。
ですがこのような極めてうさんくさいメールであっても「弁護士」や「支払督促」という単語が入っていれば一般の方にとって相当なプレッシャーになるようです。
また、真面目な人ほど「内容が意味不明⇒うさんくさいから無視しよう。」、ではなく、「内容が意味不明⇒すぐに連絡をしなくては。」という発想になってしまう傾向がみられます。
困り果てて蒼白になりながら相談に来られる方を見るたびに、こうした人の善意につけ込む連中がどうにも腹が立って仕方ありません。
送り主が目の前にいたら「金が欲しかったら汗水流して働け!」と怒鳴りつけたいところです。
当初はさっさとメールを削除しよう・・・
と、思っていたのですが、今回は架空請求の手口をより知るため、試しに返済専用アドレスをポチッと押してみました。
開いたページには私宛の「支払督促発布通知書(第1779号事件)」なる書面がアップされており、相手方弁護士の職印と簡易裁判所の印鑑が押してありました。
事件番号を附されているところをみると私の案件は既に裁判所に係属しているようです。
しかしながら、私の名前も住所も記載されておらず、相手方弁護士の名前も事務所名も不明、職印の文字も正確に判別できず、どこの簡易裁判所かも記載されておりません。
裁判期日は債権者(業者)の指定する日となっており、一体、私にどうしろ!?というのでしょうか。
また、私の延滞金の金額は21万円となっており、最近は架空請求が増えているが、本請求は法律上、正式なオプトインの確認ができており正当な請求なんだそうです。
しかも、今、退会届及び手数料を支払えば21万円の延滞金をいきなり全額免除してくれるオマケ付きです。
この不景気に、ここまで太っ腹な債権者も珍しいです。
こうした真っ当な請求に一見みえる体裁を整えて、一般人を騙そうとするのが悪徳業者の手口であることが再確認できました。
☆まったく身に覚えのない請求をされた方の対応策としては警察や弁護士、消費者センターなどに相談する、というのが鉄則です。
こうした専門機関に相談に行きづらい場合であっても、業者に連絡をするのではなく、家族でもよいので誰かに相談するようにしてください。
受任しづらい事件(回収困難な案件)
金銭の支払いを巡る事件はたとえ裁判を起こしたとしても納得のいく結果が得られるとは限りません。
相手方にお金があって、なおかつ相手方にはそれなりに合理的な言い分があって支払いを渋るような事案の場合はまだ良い方です。
そういった事案は解決に時間はかかったとしても、落としどころがボンヤリと見える上に現実的な金銭回収が多少は期待できるからです。
ですがたとえこちらの主張が100%正しかったとしても、相手方にお金がない場合、あるいは相手方が支払いを拒否し、財産を特定できない場合、回収は極めて困難となります。
具体例を挙げましょう。
例えば貴方が相手方Yに金銭の支払いを請求したい、という相談を弁護士に持ちかけたとします。
貴方の手元にはYにお金を貸した証文あるいは請求の根拠となる証拠がバッチリと揃っています。
これなら弁護士に頼めばあっという間に解決してくれる!と思われた方、めちゃくちゃ甘いです。
たとえ裁判で勝訴判決を獲得したとしても自動的にYから金銭が支払われるわけではありません。
もちろん、こちらの請求に対してYが素直に払ってくれるケースもあります。
ですが、なかにはお金がなくて無い袖は振れない相手方もいます。
こうした相手方に対して、たとえお金を支払え!という裁判を起こして勝訴判決をもらったとしても、結局、1円もとれないで終わる可能性が高いのです。
請求する側は不満でしょうけど、勝訴判決はあくまで国が貴方の請求権を認めたものであって、判決以降の回収作業に国が協力してくれるわけではありません。
Yが支払をしない場合、最後まで貴方が頑張る必要があります。具体的にはYの財産を強制的に差し押さえるなどの強制執行手続をとるのです。
ところがYにめぼしい財産がない場合、あるいはあったとしてもYが巧妙に隠している場合は差し押さえる財産が特定できないので強制執行手続にそもそも踏み切れません。
「納得いかない!」「弁護士を雇った意味がないじゃないか!」と言われる気持ちはよくわかるのですが、どうしようもない、というのが依頼を受けた弁護士の本音なのです。
こうした、相手方にめぼしい財産がない回収困難な案件はたとえ勝訴見込みだとしても受けることを躊躇してしまいます。
当事務所では最初からめぼしい財産がないと分かっている相手方の場合は依頼者の費用対効果に見合わないという理由で受任をお断りさせて頂いております。
ちょっと最近、この手の案件の相談が増えてきているので本コラムで取り上げました。
言い古されたことですが、人にお金を貸すということはあげるのと同義である、と思って下さい。
金貸しのプロである金融機関だって融資にあたり複数の目でチェックし、担保を取って貸し付けてもやっぱり焦げ付いたりしますよね?
素人の皆さんが相手を信用して貸すといってもやっぱり回収困難になるリスクは高いと覚悟した上で貸すべきでしょう(゜-゜)
レンタル商品が見当たらない場合。
レンタルしたコミックやDVDが見当たらない!と焦った経験がある方は意外に多いのではないでしょうか?
私もつい昨日、そんなヒヤッとした思いをしました。
私なんかは商売柄、レンタル商品を紛失したら幾らかかるのかな?コミックス1冊借りたとして、うっかり10年間返し忘れた場合でもきっちりお金を取られるのかな?とか色々と考えてしまいます。
だって延滞金が1日100円としても1年で36,500円、10年放置すればおよそ365,000円ですからね。請求されたら全額支払わないといけないのか?、という疑問が当然に疑問がわきますよね?
こうした疑問に対しては法律の条文に当たるよりもまず先にレンタルサービスの利用規約(約束事)がどうなっているのか調べることが大切です。
私が弁償を覚悟してざっと調べた感じですと、延滞金の上限は「当該商品のレンタル用商品としての再調達費用相当額」になるみたいです。
DVDやコミックのレンタル商品というのは市販されている商品をお店が買ってきてお客さんに貸すというものではなく、レンタル業を営むために管理権者の許可を得なければならないそうです。
そのため、再調達費用は結構高いです。他のレンタル店も含めて利用規約を読んでみるとレンタル商品の紛失に備えて違約金(再調達費用)の金額もきっちりと設定されていますね。
DVDはおおむね5000円前後、コミックは1冊につき800円前後といったところでしょうか。
それでは利用規約がないお店から借りた場合はどのように考えればよいでしょうか?
私がもしレンタル商品を紛失した借主さんから相談を受けた場合、基本的には損害の填補として再調達費用相当額を支払う方向で話をまとめせんか?と提案してみますね。
また、あり得ない話ですけれど、レンタル商品を10年間延滞したあげく紛失した借主さんから相談を受けた場合、叱り飛ばしはしますけれど全額払いなさい!というのはちょっと酷な気がします。
借主にとってあまりにも不利益ですし、消滅時効の問題とも関わってきそうですから減額交渉から入りますかね。非はこちらにあるわけですから法律論でギリギリ攻めるのではなく、お店にも納得してもらえる金額を提示したいところです。そうすると再調達価額が一つの目安になるのでしょうね。。。
とにもかくにもレンタル商品を紛失した場合はバツが悪くても早くお店に謝りにいくのが得策です。
ちなみに私がなくしたと思っていたコミックスはちゃんと見つかりました♪
氏名の変更の必要性にかられたら。
※以下は私が思いつきで氏名を変えようと思い立ったという架空のシュチュエーションでお送りします。
プロローグ
私 :う~ん、最近、僕の名前が意外と「地味」じゃないかと思えてきたんだよ。
事務局:ふ~ん。カタカタ(PCを叩く音・目を決して合わそうとしない。)
私 :それに、最近また雪が積もったし春が待ちどおしいよ。そ、そうだ!
事務局:ガタッ(逃げ出そうとする音)
私 :改名するというのはどうだろうか。そうだなあ。。。
春を呼ぶ名前。。。
「春野天晴(ハルノ アッパレ)」というのはどうだろうか??
事務局:いいんじゃないですか~(棒読み)
というシュチュエーションになったとき、法律上、私の改名は認められるのでしょうか??
皆さんはどう思われますか??社会生活を送る上で身分関係に変動がない場合であっても氏名の変更に迫られる場合があります。
そんなとき、どんな法律を根拠に氏名を変更するのかを見ていきたいと思います。
・氏の変更について
戸籍法・第107条 やむを得ない事由によつて氏を変更しようとするときは、戸籍の筆頭に記載した者及びその配偶者は、家庭裁判所の許可を得て、その旨を届け出なければならない。
・名の変更について
戸籍法・第107条の2 正当な事由によつて名を変更しようとする者は、家庭裁判所の許可を得て、その旨を届け出なければならない。
条文を見比べてみると氏名の変更には「家庭裁判所の許可」が必要だという共通点がありますね。また、家庭裁判所からの許可をもらうためには、氏の変更には「やむを得ない事由」が、名の変更には「正当な事由」が認められなくてはなりません。
どちらも抽象的で分かりにくいですけど、日本語の響きからして「やむを得ない事由」の方が厳しく判断されそうですよね。
氏の変更の「やむを得ない事由」が認められた審判例をみると、珍奇又は難読などで実生活に支障があるケースやその氏の継続を強制することが社会通念上、甚だしく支障があるケースがありました。
しかも単なる本人の主観によるのではなく(単に嫌!とか不満!では駄目です。)、通常人が一般的に受ける感じを基準としていると考えられます。
他方、名の変更の「正当な事由」については変更の可否の指針として
①営業上の目的から襲名する必要のあること
②同姓同名の者があって社会生活上甚だしく支障のあること
③神官若しくは僧侶となり又は神官若しくは僧侶をやめるために改名する必要のあること
④珍奇な名、外国人にまぎらわしい名又は甚だしく難解、難読の文字を用いた名等で社会生活上甚だしく支障のあること
⑤帰化したもので日本風の名に改める必要のあること
などが挙げられます(昭和23年1月31日民事甲37号最高裁事務局民事部長回答)
ただ、最後は家庭裁判所による個別事情に基づく判断となっており、どうも画一的な基準というのはなさそうです。
エピローグ
私 :う~ん、どうも私の「春野天晴」への改名は難しそうだな。
まあ氏名の変更への必要もなかったし、単なる思い付きだしね。
事務局:私もそれが良いと思います(ホッ)
架空請求業者からメールが届きました。ドキドキ。
本日、私の携帯に以下のようなメールが届きました。
どうやら私に対して訴訟が提起されたようです。
う~ん、身に覚えがまったくありません。
ですが万が一ということがありますので、よくよく内容を吟味したいと思います。
○民事裁判事前告知○
__________
■訴訟番号 平成26年(コ)第654号
■訴訟取下げ期日 平成26年10月10日 (金曜日)
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この度、貴殿がご利用された電子通信使用料(コンテンツ利用料金)債務不履行により、原告側(契約通信運営会社)が提出した『民事裁判』の訴状を、管轄裁判所が受理した事をご報告いたします。
ご連絡なき場合、下記の訴訟取下げ期日を経て、特別送達による出廷命令が届きますので記載期日に出廷していただきます様、宜しくお願い致します。
裁判後の措置として執行証書の交付のもと給与差押さえ、及び動産物・不動産の差押さえを執行官の立会いのもと強制執行させて頂きます。
(※尚、故意に放置しておくと、原告側の言い分どおりの判決が下されます。)
訴訟内容及び、訴訟取下げ手続きに関しましては、受付時間内に担当職員までお問い合わせ下さい。
総合消費者民法特例法による法務省許可通知のため個人情報保護法上 、ご本人様からご連絡頂ますようお願い申し上げます。
尚、当局は原告側からの訴訟通達・訴訟の正当性を確認する機関であり、当局が貴殿に対して訴訟を提起するのではありません。
※昨今、架空請求業者の新しい手口として少額訴訟手続きを利用して実際に訴訟を提起する事例が増えてきていますのでご注意ください。
__________
〓民事司法事務総局〓
【住所】〒100-0013 東京都千代田区霞が関1丁目1-2
【TEL】 ○○○
【担当】○○○
【受付時間】 平日 8:30~18:00
土曜日 8:30~17:00
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
(※ご連絡に際しては、部署・担当名をお伝えください。尚、電話回線が混み合ってる場合は繋がりにくい場合もございますのでご了承下さい。 )
一見すると法務省だの、それらしい法律名だの、架空請求業者の手口の紹介だのと真実味がありますね。
皆さんのなかには、こうしたメールを受け取ると心配になって連絡先にすぐにTELしたくなる方がいると思います。
ですが待ってください。落ち着いてメールを読んでみると色々と突っ込みどころが満載だとは思いませんか??
少なくとも私なんかに言わせるともう出だしから怪しさ満点です。
それでは具体的に見ていきましょう。
○民事裁判事前告知○
__________
■訴訟番号 平成26年(コ)第654号
■訴訟取下げ期日 平成26年10月10日 (金曜日)
→まず私は約3年間、弁護士をしておりますが「民事裁判事前告知」なる制度なんて聞いたことがありません。
また、民事訴訟が提起されましたとメールでお知らせしてくれるサービスがあったことを初めて知りました。
上記サービスがあれば便利だと思う方もいるかもしれませんが、残念ながら日本の裁判所がメールで当事者と連絡を取り合うことはあり得ません。。
事件番号として(コ)というものがあることも私は知りませんでした。
しかも10月9日に訴訟を提起したのに、その翌日には訴訟の取り下げ(訴訟をはじめからなかったことにする、という意味。)期日があるそうです。
もはや何がしたいのかわかりません。
メールの送り主がいう「裁判所」とは本当に日本の裁判所なのでしょうか??
この度、貴殿がご利用された電子通信使用料(コンテンツ利用料金)債務不履行により、原告側(契約通信運営会社)が提出した『民事裁判』の訴状を、管轄裁判所が受理した事をご報告いたします。
→私が利用したというコンテンツの内容がまったく記載されていません。これでは債務の内容がわかりませんね。
使用料の請求をするのですから当然に「民事裁判」だと思うのですが、、、他にどんな裁判で使用料を請求するつもりなのか教えて欲しいです。
また、管轄裁判所が受理した、とありますがどこの裁判所かがわかりません。
そして受理(受け付けた)ことを連絡してくる理由がわかりません。
ほっておいても裁判所から書類が届くのですから事前に連絡する意味がどこにあるのでしょうか??
ご連絡なき場合、下記の訴訟取下げ期日を経て、特別送達による出廷命令が届きますので記載期日に出廷していただきます様、宜しくお願い致します。
→なるほど了解しました。ですがどこに出廷すれば良いのか、また連絡をする必要性がまったくわかりません。
訴訟取り下げ期日なる日が何をする日なのかもわかりません。
裁判後の措置として執行証書の交付のもと給与差押さえ、及び動産物・不動産の差押さえを執行官の立会いのもと強制執行させて頂きます。
→どうやらこのメールの送り主の頭の中では裁判をする前から私が完全に敗訴する予定になっているようです。
(※尚、故意に放置しておくと、原告側の言い分どおりの判決が下されます。)
→ここでいう「放置」とはいったいなにを指しているのでしょうか??
請求の内容もわからず、どこの裁判所かもわからないのでは対応の仕様がありません。
読めばよむほど理解できないことがたくさんあります(←こう思わせて連絡を取らせようとするのが架空請求業者の手口です)。
訴訟内容及び、訴訟取下げ手続きに関しましては、受付時間内に担当職員までお問い合わせ下さい。
総合消費者民法特例法による法務省許可通知のため個人情報保護法上 、ご本人様からご連絡頂ますようお願い申し上げます。
→実在する法律名やそれらしい法律名や「法務省」といった公の機関名が書かれています。
ですが、これだけで信用してはいけません。なんで訴訟手続に関して裁判所ではなく、どこの馬の骨ともしれない担当職員に問い合わせないといけないのでしょうか??
だいたい「○○法による●●通知のため○○法上」なんてくだりは文法的にもおかしく、もはや意味不明です。
尚、当局は原告側からの訴訟通達・訴訟の正当性を確認する機関であり、当局が貴殿に対して訴訟を提起するのではありません。
→それではいったい何のためにメールしてきたのかまったく分かりません。これまでのメールの内容と矛盾しています。
しかも原告側からの訴訟の正当性が既に確認されているのであればいったい何のために裁判をするのでしょうか??
※昨今、架空請求業者の新しい手口として少額訴訟手続きを利用して実際に訴訟を提起する事例が増えてきていますのでご注意ください。
→これは事実です。裁判所からの通知等をほっておくと思わぬ不利益を蒙ることがありますので、裁判所からの通知が届いた場合はきちんと確認をしてください。
こうして虚実を混ぜて信用させようとするのが架空業者の手口です。
__________
〓民事司法事務総局〓
【住所】〒100-0013 東京都千代田区霞が関1丁目1-2
【TEL】 ○○○
【担当】○○○
【受付時間】 平日 8:30~18:00
土曜日 8:30~17:00
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(※ご連絡に際しては、部署・担当名をお伝えください。尚、電話回線が混み合ってる場合は繋がりにくい場合もございますのでご了承下さい。 )
→ご丁寧に合同庁舎の住所を記載しています。ですが実際に行ってみてもそんな部局は存在しません。
また、裁判所を含めて官公庁は本来、土日はお休みなのですが、どうやらこのメールを送った民事司法事務総局のスタッフは土曜日も出勤もしているようですね。ご苦労さまです。
とまぁ、こんな感じでよく読むと内容は支離滅裂ですし、法務省のHPにも以下のような注意喚起がなされていますので私に届いたメールが架空請求であることは間違いないです。
最近,「民事裁判告知」と題し,「民事裁判の訴状を,管轄裁判所が受理したことを報告いたします。」等との記載があるEメールが送付されているとの情報が法務省に多数寄せられています。
この中には「法務省認定法人」と法務省の名称を無断で使用していますが,これらの団体と法務省とは一切関係がありません。
文面には,架空の「訴訟取り下げ期日」等が記載されており,存在しない法律名等を書き立てて法的根拠があるように見せかけて不安をあおり,訴訟取り下げ等についての連絡を求めるものがありますので,くれぐれもご注意ください。この他,心当たりのないメールに法務省が発信元であるかのような記載がある場合には,放置せずに法務省に御確認ください。
○過去の不正に使用された法務省の名称及び法務省と類似した名称
「法務省管轄機構民事訴訟管理局」,「民事訴訟管理局」,「民事訴訟通達センター」,「法務省認定法人民事訴訟総合協会」
皆さんに届いた請求メールにそれらしい法律名や機関名が記載されていたとしてもすぐに信じるのではなく、その内容をよく吟味してください。
そして請求メールに記載された連絡先に電話やメールをするのは控えましょう。
たいていは連絡先に問い合わせた段階で氏名や住所といった個人情報を聞かれ、答えてしまうことで架空業者に格好の獲物にされてしまう可能性が極めて高いです。
対応などに迷ったときはお近くの消費者センターや弁護士会にご相談ください。
あれ??架空請求かな??と思ったら。
さて皆さんはある日突然、利用した覚えのないサービス(サイト利用料等)の請求が電子メールやハガキ等で届いたらどんな気持ちになりますか??
しかも請求の内容を見ると、それらしい法令や公の機関らしい名称が用いられており、連絡をくれないと「ブラックリストに登録する。」「身辺調査をする。」「裁判を起こす。」といった人を不安な気持ちにさせるフレーズがこれでもかと並んでいるのです。
多くの人はたとえ身に覚えがなくても、それらしい請求を受けることで精神的に動揺し、ついつい連絡をとらなくてはと思うのでないでしょうか。
こうした請求はいわゆる「架空請求」である可能性が極めて高いです。
そのため身に覚えがない請求を受けた場合には、慌てて送り主に連絡を取ったり、お金を支払ったりせずに無視を決め込むことが原則となります。
ですが、どうしても心配であれば消費者センターや弁護士等にご相談ください。
なお、発送元が裁判所となっている場合は放置することで思わぬ不利益を被ることがありますので、たとえ心当たりがなかったとしても発送元の裁判所に確認してください。
余談ですが、私は過去に何度か利用した覚えがないサービスの料金を支払えと請求されたことがあります。
私は普段、無視を決め込むのですが、たまたま一度だけ電話に応答してしまったことがあります。
相手方は私の名前も知らず、詳細不明のサイト料金を支払えの一点張りでしたので架空請求だとすぐにわかりました。
そのため私は会話を途中で打ち切り、「以上、留守番電話サービスでした。」と言って電話を切ってしまいそれきりですが、決して気分の良いものではありませんでした。
どうか皆さんも落ち着いて対処してください。