②よくある法律相談(ご近所トラブル編)

近隣紛争の難しさ(騒音編④)

2015-10-09

今回が「騒音編」の最後のコラムとなります。

最後の回は「近隣紛争は法律論だけでは解決にほど遠い」という点にスポットを当てたいと思います。

近隣紛争のように普段から顔を合わせる者同士がこじれている案件は激しい感情的対立が伴っていることがほとんどです。

こじれにこじれた案件は生活音が「違法」かどうかの判断なんてのは正直、二の次です。

裁判所が「違法」あるいは「適法」だと判断したからといって納得して終わりという話ではありません。

たとえ訴訟を起こしてシロクロがついたとしても、勝った側も負けた側も深く傷つき、仲が完全にこじれてしまい、生活騒音どころか近くに住んでいることを考えるだけでもストレスです。

賃貸物件であれば引っ越しは容易かもしれませんが、大枚をはたいて購入した家やマンションであればそうもいきません。

これから長年にわたって顔を突き合わせて生活していくのですから相談を受けた側とすれば解決方法にそれはもう神経を使います。

なかには弁護士を雇って「静かにしろ。」と警告すれば相手も黙るだろう、と考えていらっしゃる方もいらっしゃいます。

ですが考えてみてください。仮に貴方になにがしかの問題行動があったとしても、ある日いきなり弁護士から「貴方の出す音がうるさいので○時以降は音をださないように。」「違反したら法的措置をとらせて頂きます。」「損害賠償請求もします。」なんていう文書が届いたらどう思いますか?

無論、弁護士はこんな挑発的な書面は送りはしませんが、受け取った側は心当たりがあるにしても良い気分はしないでしょうし、弁護士を雇うなんてやりすぎだ!と思うかもしれません。こうなると相手の交渉態度が気に食わないという理由でまとまる話もまとまらなくなります。

近隣紛争(騒音問題)の本質は音の大きさや種類などではなく、人間関係がこじれてしまっているところにあると私は考えています。

うまくお互いのメンツを立てて、譲り合うべきところは譲り合って、若干の不満は残るかもしれませんが双方に我慢を促す解決が一番良いと信じています。

それゆえ私は、相談者の方がどんなに腹がたっていても、話し合いによる解決の可能性はゼロだと言われる方からの依頼は基本的にお断りしています。

さて本題の近隣紛争(騒音問題)の解決の手段ですが、貴方がアパートやマンションにお住まいで管理者がいるのであれば、まずはその方に間に入ってもらうのが望ましいでしょう。

中立の立場の方をいれることで、問題点を指摘してもあるいは指摘されても当事者が感情的になるのを防ぐことができます。

通常の管理者であれば入居者同士のトラブルを黙殺することはさすがにありません。

ただ、管理者も人間ですし、できることには限界があります。

管理責任を追及するあまり、感情的になんとかしろ!と言うだけではまともに動いてはくれません。

私が経験した近隣紛争(騒音)の事例は集合住宅にお住まいのXさんからの相談でした。

Xさんは同じ棟に住んでいて騒音以外にも色々と問題を起こされるYさんに目をつけられ半ば嫌がらせを受けておりました。

Yさんの嫌がらせの証拠はある程度揃っていましたが、Xさんも感情的になってしまっており管理者ともうまく連携できてていないようでした。

警察にも相談に行かれていましたが事件化は難しいということで動きは相当にぶかったようです。

私はXさんと一緒に管理事務所を訪問し、管理者としてできることとできないことを整理してもらい、皆で具体的な解決策を検討しました。

管理者の方に解決策を実行に移してもらったことでYさんの騒音などは減り(Xさんが事態が進展し、気分的にも楽になったことも大きな要因だと思われます。)事件は無事に終結となりました。

字面だけ追うとスムーズに解決したようにも思えますが、何度となく関係者と話し合いを重ねましたし、私自身も嫌な思いもしました。相当な労力を費やしています。

それでも訴訟沙汰になるよりは100倍マシだったと今でも思います。

もし管理者の力を借りることができない、あるいは管理者が間に入っても解決できないケースは裁判所を使った解決を検討する必要が出てきます。

そうなったとしてもいきなり訴訟はお勧めしません。まずはこちらの言い分と裏付けとなる証拠を揃えて調停(裁判所での話し合い)で話し合ってはどうかと助言します。

近隣紛争(騒音)は法律論ももちろん大事ですが、証拠集めに始まり、解決後の生活や近所付き合いを見据えて動かなければならないところが難しいポイントになってきます。

近隣紛争の難しさ(騒音編③)

2015-09-30

近隣紛争(騒音)に関するコラムの続きです。

今回は受忍限度を超えていると判断されたケースをご紹介致します(東京地方裁判所・平成19年10月3日判決より(太字部分が引用部))。

このケースはマンションの階上の住戸に住むYさんの子供が廊下を走ったり跳んだり跳ねたりする音が、階下の住戸に居住する原告Xさんが社会生活上受忍すべき限度を超えているとして被告Yさんに対して損害賠償請求をした事案です。ちなみにXさんの請求は認められています。

それではさっそく裁判所の判断部分(太字部分)をみてみましょう。

「本件音は,被告の長男(当時3~4歳)が廊下を走ったり,跳んだり跳ねたりするときに生じた音である。

⇒音の正体がバッチリと分かっていますね。

本件マンションは,3LDKのファミリー向けであり,子供が居住することも予定している。

⇒子どもの生活音がすることが想定されており、Xさんもある程度の音は我慢しなくてはいけないでしょう。Yさん側にとって有利な事情ですね。

しかし,平成16年4月ころから平成17年11月17日ころまで,ほぼ毎日本件音が原告住戸に及んでおり,その程度は,かなり大きく聞こえるレベルである50~65dB程度のものが多く,午後7時以降,時には深夜にも原告住戸に及ぶことがしばしばあり,本件音が長時間連続して原告住戸に及ぶこともあったのであるから,被告は,本件音が特に夜間及び深夜には原告住戸に及ばないように被告の長男をしつけるなど住まい方を工夫し,誠意のある対応を行うのが当然であり,原告の被告がそのような工夫や対応をとることに対する期待は切実なものであったと理解することができる。

⇒深夜に50~60デシベルという音はかなりうるさいです。Yさんの侵害行為の態様はひどいといえるでしょう。

そうであるにもかかわらず,被告は,床にマットを敷いたものの,その効果は明らかではなく,それ以外にどのような対策を採ったのかも明らかではなく,原告に対しては,これ以上静かにすることはできない,文句があるなら建物に言ってくれと乱暴な口調で突っぱねたり,原告の申入れを取り合おうとしなかったのであり,その対応は極めて不誠実なものであったということができ,そのため,原告は,やむなく訴訟等に備えて騒音計を購入して本件音を測定するほかなくなり,精神的にも悩み,原告の妻には,咽喉頭異常感,食思不振,不眠等の症状も生じたのである。

⇒Yさんの開き直りとも言える態度はよろしくありません。また、Xさんの家族に深刻な被害が出ています。

以上の諸点,特に被告の住まい方や対応の不誠実さを考慮すると,本件音は,一般社会生活上原告が受忍すべき限度を超えるものであったというべきであ」る。

上記のケースは前回紹介したケースと違い、音の正体や大きさがバッチリ分かっています。また、Xさんの家族に生じている被害は深刻です。

それを踏まえてXさん側の事情とYさん側のそれぞれの事情を総合的に考慮し、受忍限度を超えていると判断しています。

私は妥当な結論だと思います。

ファミリー向けマンションですので夜、子どもがなかなか寝付かず、はしゃぎまわることもあるでしょうし、Xさんも多少の我慢は必要になってくるでしょう。

しかし、上記のケースではYさんの対応がひどすぎたように思います。こうした近隣紛争はたった一言「うるさくしてすみません。」と謝るだけでもその後の展開が違ってくることが少なくありません。

場合によってはXさんだって「子供が小さいうちはしょうがないな。」と思ってくれた可能性だってあったと思います。受忍限度の考慮要素の一つである「その間にとられた被害の防止に関する措置の有無及びその内容,効果等」に当てはまる本件の事情が、Yさんにとってかなり不利に働いたものと思われます。

このように「受忍限度」とは、お互いに我慢すべきところは我慢しつつ、ある線を超えたら許しませんよ!、というように、当事者間の権利や利益を調整するための考え方であることが分かります。

当事務所が近隣の騒音問題について相談を受けた際に、相談者の方の言い分だけでなく、それを裏付ける証拠を揃えたり、相手方の言い分についてもきちんと耳を貸すように助言することがあります。それはこの「受忍限度」という考え方が私の頭の中にあるからです。

さて、近隣紛争(騒音)に関する問題点について主に法律論を中心にこれまで見てきましたが、次回が最後になります。

最後の回は近隣紛争は法律論だけでは解決できない、という点にスポットを当てたいと思います。

近隣紛争が法律論で全てカタがつくのであれば、バンバン訴訟を起こして白黒つければよいはずですよね。

ですが実際はそうはいきません。その難しさを少しでも分かってもらえればと思います。

近隣紛争の難しさ(騒音編②)

2015-09-30

前回の近隣紛争(騒音)に関するコラムの続きです。

騒音の違法性を判断するに当たり「受忍限度」という判断基準が用いられることがあると説明しましたが、言葉だけ聞いてもよく分からないですよね?

一ついえるのは○○デシベル超えたら即、違法!のような分かり易い判断基準ではないということです。

例えばある裁判例では受忍限度を超えているか否かの判断方法について以下のように判示しています(東京地裁平成21年10月29日判決より)。

原告が騒音により受けた被害が,一般社会生活上の受忍限度を超えるものであったか否かは,加害者側の事情と被害者側の事情を総合して判断すべきであり,具体的には,①侵害行為の態様とその程度,②被侵害利益の性質とその内容,③侵害行為の開始とその後の継続状況,④その間にとられた被害の防止に関する措置の有無及びその内容,効果等を総合して判断するのが相当である。

無論、上記裁判例の解釈が絶対ではありませんが「加害者側の事情と被害者事情を総合的に考慮して判断する。」という骨子は基本的にどの類似事件にも当てはまる考え方だと思います。

また、判断の際には一般人を基準とするとされており、例えば「僕は超神経質だから人が呼吸する音も気になる」という極端な人が当事者であっても一般人を基準にして判断することになるでしょう。

ここからは受忍限度を超えたと判断されたものと、そうでないものの二つの裁判例を紹介したいと思います。

いずれの事案もXさんがその居室の真上の居室に居住していたYさんに対して、Yさんの居室からの騒音により精神的苦痛を被ったとして、不法行為に基づき慰謝料などを請求した事件です。

まずは当職の経験上、解決の糸口が大変、見えずらいケースからご紹介いたします。

Xさんの請求は認められないとされた裁判例(東京地裁平成17年10月21日判決より・下線部当職)。

第3 当裁判所の判断
 1 本件の争点は,要するに,被控訴人が受忍限度を超える違法な騒音を発生させていたか否かという点にある。
 2 そこで検討するに,控訴人は,原審における本人尋問(甲3)において,その主張に沿う供述をするところ,その要旨は,原判決「事実及び理由」欄第3の2(1)記載のとおりであるから,これを引用する。
   しかしながら,その一方で,控訴人は,被控訴人の居室から聞こえてくる騒音を何度もテープに録音しようと試みたが,なかなかうまく録音できなかったと供述し,さらに,その音は,被控訴人の生活上の音ではないが,どのようにして生じているのかは分からないと供述しているのであり,これによれば,控訴人の主張するような騒音が,果たして実際に発生していたかどうかは疑問がある。
   そして,被控訴人は,原審における本人尋問(甲3)において,騒音を発生させたことはないと供述している。
   そうすると,控訴人の前記供述については,他にこれを裏付ける証拠がない以上,そのままで採用することは困難であるから,結局,被控訴人の居室から控訴人の主張するような騒音が実際に生じていたとは直ちに認め難いし,仮に何らかの物音が生じていたとしても,それが,一般的にみて,社会生活上受忍すべき限度を超えるだけの違法なものであったとまでは認めるに至らないというべきである。まして,本件証拠上,被控訴人が,控訴人に対してことさら嫌がらせを行おうとしたものとは認められない。
   以上によれば,控訴人の請求は,その余の点について判断するまでもなく,理由がない。
 3 よって,控訴人の請求を棄却した原判決は相当であり,本件控訴は理由がないからこれを棄却することとし,主文のとおり判決する。

僕なりに要約するとXさんは上から聞こえてくる音に我慢がならなかったと主張しています。ですがYさんはXさんの主張を真っ向から否定し、まさに水掛け論状態になっています。

民事裁判の小難しいルールを抜きにしても上記のケースでは、XさんとYさんの双方の事情を総合的に考慮する以前の問題ではないでしょうか??

結局、裁判を通じても音の正体は不明だったうえに、音の存在もXさんの言い分以外からは確認できておりません。

こうなってくると総合考慮をしたくても考慮要素に当てはまる事実をXさんが用意できていないため判断のしようがありません。

それゆえ上記のケースでXさんの請求を認めなかったのは妥当であると考えます。

こうした確たる証拠がないなかで「とにかく隣がうるさいんだ。」「なんとかして欲しい」と相談に来られるケースは意外と少なくありません。

気持ちは分かるのですが、当事者の一方的な言い分のみではなかなか解決に結び付かないこともまた理解して頂きたいと思います。

最後のコラムで取り上げるつもりですが法律論だけで生活騒音の問題が解決できるならこんな楽なことはありません。

私はどちらかというと交渉相手の理解を求める作業が一番大変だと思います。

それゆえ理解を求めるための道具として「事実」と「証拠」は出来得る限り揃えておくにこしたことはないのです。

次回のコラムでは受忍限度を超えていると認めた裁判例を紹介したいと思います。

こちらのケースでは音の大きさも正体もバッチリ掴めておりますので、まさに総合的な考慮が必要になってきます。 ~つづく~

近隣紛争の難しさ(騒音編①)

2015-09-24

騒音、日照、悪臭、嫌がらせ等々、近隣紛争の相談内容は多岐にわたっており法律論のみならず解決までには困難なハードルが幾重にも立ちふさがっています。

今回からしばらく「騒音」に関する問題を取り上げたいと思います。

そもそも「騒音」とは一体、どういった音なのでしょうか?

手元の国語辞典を開いてみると「騒がしく、不快感を起こさせる音。」とあります。

でも音の聞こえ方、感じ方は人によって違いますよね?

例えば僕が即興で作ったオリジナルソングを口ずさんでいると、事務局さんから「ちょっと先生、仕事に集中できないので止めてください。」というクレームが出たりします。

またある時は「あ~、食った、食った」とポンポンとお腹を叩いてご機嫌でいると、事務局さんから「ちょっと、腹を叩くのを止めてください。下の階まで響いてます。」というクレームも出ます。

このように幾ら自分が静穏あるいは心地よいと感じていても他人からしてみれば騒がしく、かつ不快に感じることがままあるのです。

そして「音」の有無は通常、耳や専用の機材で判断できるのに対して、出ている音をどのような基準でもって「騒がしい」あるいは「不快」だと判断するのか、ここが騒音問題の難しさの一つだと考えています。

それではここで「騒音」に関して規定している法律を見てみたいと思います。

我が国には「騒音規制法」という法律があります。よんで字のごとく騒音を規制する法律です。

おお!じゃあこの法律を使うことで、アパートの隣の部屋の生活音がうるさいと感じたときはビシバシと規制してもらえるのですね!と考えた貴方、、、ちょっと待ってください。

同法の一条をよくみてみましょう。

(目的)
第一条  この法律は、工場及び事業場における事業活動並びに建設工事に伴つて発生する相当範囲にわたる騒音について必要な規制を行なうとともに、自動車騒音に係る許容限度を定めること等により、生活環境を保全し、国民の健康の保護に資することを目的とする。

どうやら騒音規制法の規制対象となっているのは事業活動や建設工事、自動車騒音であって、隣の部屋の生活音までは規制対象になっていないようです。

無論、規制対象になっていないからといって、何時でも好き勝手に音を出して生活をして良いわけがありません。

他方、不快に感じたからといって何でもかんでも「騒音」扱いされてはたまったものではありません。

生活音のように、生活をしていく上で避けられない音をどのように「違法」と判断するのかは本当に難しい問題です。

上記問題に対する代表的な考え方の一つとして、生活音が「一般生活上、受忍すべき限度を超えているかどうかを判断し、その限度を超えた場合に違法とする」、いわゆる「受忍限度論」という考え方があります。

でもよくよく考えると「受忍限度」って何だろう?ってなりませんか??

受忍限度論は「生活音が○○デシベルを超える⇒受忍限度を超えた!⇒違法だ!⇒損害賠償あるいは差し止めだ!」という単純な判断基準ではありません。

受忍限度を超えているかどうかの判断には様々な考慮要素があるのですが紙面の都合上、次回のコラムで取り上げたいと思います。

なお、私の個人的な見解ですが騒音規制法で定められている基準は、生活音が受忍限度を超えているか否かの考慮要素の一つになると思います。

例えば私の当事務所の住所地(準工業地域)では夜間の騒音の規制基準は55デシベルとなっています(坂井市HPより)。55デシベルというと人の普通の話し声が目安になるそうです。

55デシベルを超える生活音を出したら即、違法とはなりませんが、55デシベルを超えているか否かは当事務所界隈のアパートの騒音(生活音)問題を考えるにあたって重要な考慮要素には違いありません。

雪にまつわるご近所トラブル

2015-01-21

どうしても季節がら雪にまつわる相談が多くなります。特に今年は気象庁の当初の予報が見事に外れて大雪に見舞われたこともあり、隣家からの(への)落雪に関する相談が比較的多いように思われました。

ということで私の個人的な見解をまとめたものを記します。

まず、ここ福井では冬に雪が降るのはある意味当たり前であって、お隣さんに100%落雪しないよう求めるのはある意味不可能である、という頭でいて欲しいです。

また、お隣に落雪しないようにできる限りの方策を採っておくことも必要といえるでしょう。

きちんと雪止めやネットを設けるなどして雪対策をしてもお隣に落雪した場合、それが土地の利用に支障がない程度であればご近所同士、お互い様として目くじらを立てないで欲しいと思っています。ただ、お互いさまと開きなおるのではなく、雪かきを手伝うなりしてお隣同士で良いお付き合いを心掛けるべきでしょう。

と、ここまではほとんど法律論ではありません。

ところが残念なことに隣家からの落雪によって車や自宅の壁あるいは付属品が壊れるなどの具体的な損害が発生してしまう場合があります。

そのような場合は法律論としては隣の建物の設置・管理に瑕疵があったとして民法717条に基づく損害賠償責任の有無が争点になると思われます。

要はお住いの地域で想定される積雪量を前提として、通常、住宅がお隣に落雪しないように備えておくべき構造・方策であったかのか否かが問題になります。

(土地の工作物等の占有者及び所有者の責任)
第717条 1項 土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じたときは、その工作物の占有者は、被害者に対してその損害を賠償する責任を負う。ただし、占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、所有者がその損害を賠償しなければならない。

また、落雪による具体的な損害の発生のおそれがある場合はお隣さんに何らかの措置を採るように法的に求めることも考えられます。

なお、雪国に家を建てる場合、施工業者と落雪対策については納得いくまで話し合っておく必要があるでしょう。

そして、業者とのやりとりはなるべく書面に残しておきましょう。これは落雪が原因でお隣とトラブルになった際に業者の責任の有無を判断する上でも重要な資料になるからです。

民法第717条3項  前二項の場合において、損害の原因について他にその責任を負う者があるときは、占有者又は所有者は、その者に対して求償権を行使することができる。

私の思いとしては、できる限り法律論でギリギリと処理することなく、話し合いを通じて解決の道を探っていってもらいたいです。

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