裁判所のよもやま話(大規模庁あるある?)
以前のコラムでも書きましたが弁護士は、事務所の所在地だけではなく、基本的に日本全国、津々浦々どんなところでだって活動ができるんです。
そうすると弁護士は事件によっては事務所所在地の裁判所だけではなくて、県外の裁判所でも裁判活動を行うことになります。
皆さんのなかには「裁判所もいってみればお役所だし、日本全国、どこも似たようなものでしょう?」と思われる方もいるかと思いますが、甘いですね。
裁判手続なんかは、そりゃあどこの裁判所に行ったって基本、変わりありません。
ですが、庁舎の規模や運用、庁内に漂う空気(雰囲気といった方がよいでしょうか。)の違いは結構ありますね。
裁判所(ここでは本庁を想定しています。)を規模で区分すると、大まかには大規模庁、中規模庁、小規模庁に分けることができます(裁判所HP資料を参照)。
大規模庁→事件数が突出して多い東京、大阪の裁判所。
中規模庁→札幌、仙台、名古屋、福岡といった高等裁判所の所在地にある裁判所
小規模庁→それ以外の裁判所・・・
福井の裁判所はというと規模的には小規模庁となります。
もっとも、福井の裁判所は小規模庁といっても法廷も庁舎もかなり立派なものです。
僕が司法修習時代(※修業時代だと思ってください。)に県外にいた頃、あるベテランの先生が「福井の裁判所のステンドグラス、あれは一見の価値があるよ。」と話していたのを聞いたことがあります。
実際のところ、ステンドグラスはなかなかのものですので、福井に旅行に来られて、暇を持て余している方はぜひ一度、ご覧になられてはどうでしょうか?
但し、庁舎内は撮影禁止なのでご注意を・・・
で、少しだけ昔の話をしますと、僕が大規模庁で初めて仕事をしたときはやっぱりそのスケール感に圧倒されましたね。
まず、入口で金属探知機のゲートがあって手荷物検査をやってるんですよ。
僕は「やっぱり、都会の裁判所はすごいんだなあ。」「変な人が多いんだろうなあ。」とか思いながら、手荷物検査の列に並んで入ったんです。
そしたらフリーパスの方がいて、「特別扱いか?VIPか?」とか思ってよくよく案内をみたら、法曹の方は身分証の提示をすれば検査不要で、法曹用の入口がちゃんとあったんですね。
浮足だっていたのか、ついうっかり?検査を受けてしまいました。
それから、ある調停手続中(※裁判所での話し合い)、人でごった返している待合室で待っていたところ、調停委員の先生が「○○さん、○○号室にお入りください。」と病院の受付みたいな案内をしていたんです。
福井では基本、調停の部屋番号での呼び出しですのでビックリしましたね。これも人口の多さがなせる業なんでしょう。
しかも僕と同じ苗字の方が呼ばれたものですから、咄嗟に手を挙げて反応してしまいましたが、代理人はちゃんと「○○弁護士」「○○代理人」と呼んで区別しているんですね。
僕なんかは、こうした運用面での違いから、調子がくるってしまうことがあります。
ですので、初めて行く裁判所は、アウェイのつもりでいつもより気を張っていますが、僕のような弁護士の先生は少なくないと思いますね|д゚)/