第一期電脳戦観戦記

2016-04-10

昨日と今日の2日間で将棋の「第一期電脳戦」が行われました。

第一期電王戦の概要ですが、第一期叡王戦を勝ち抜いた山崎隆之叡王と第三回電王トーナメント優勝ソフト「PONANZA」の二番勝負となります。

幾ら将棋の天才であるプロ棋士といえど、昨今のコンピュータソフトの強さに対しては苦戦を強いられており、今棋戦も人間にとって厳しい戦いとなりました。

人間側の代表である「叡王」は、電脳戦のために新しく設けられたエントリー制の棋戦「叡王戦」の優勝者に与えられる称号です。

今回の叡王戦には羽生善治名人(王位・王座・棋聖)や渡辺明竜王(棋王)といった棋界を代表する実力者はエントリーしていませんが、それでも現役プロ棋士のほぼ全員が参加した棋戦を勝ち抜いたわけですから優勝者は申し分のない実力者といってよいでしょう。

そんな叡王は関西を代表する人気若手棋士「西の王子」こと山崎隆之八段です(NHKの将棋番組の司会でもおなじみで私もファンの一人です)。

他方、コンピュータソフト側の代表は「PONANZA」。対人無敗記録更新中の化け物ソフトです。

第一局目は、

将棋のプロ棋士・山崎隆之八段(35)とコンピューターソフト「PONANZA(ポナンザ)」が戦う第1期電王戦二番勝負(ドワンゴ主催)の第1局が9、10日、岩手県平泉町の中尊寺で指され、先手番のポナンザが85手で勝った。中盤早々に飛車交換に踏み切ってから巧みに攻めをつなげ、山崎八段に粘る余地を与えず押し切った。敗れた山崎八段は「想定を外れて、1日目からまずい展開になった。第2局はもっと広く構えてスムーズに指せるようにしたい」と話した(H28.4.10朝日新聞配信ニュース)。

となりました。

私も時間の許す限りインターネットの生配信を見ていたのですが、PONANZAの強さは際立っていました。とにかくスキがなさすぎます。

人間同士の戦いですと読み違い、見落としなどのミスがあり、逆転につぐ逆転で勝負は最後までわからないという面白さがあります。

ところがコンピュータソフトは一旦リードを奪うとあとはリードをどんどん広げ、ミスはほとんどせず、終盤の読みも完璧、疲れ知らず、とくれば人間側はひたすら序盤でリードを奪って逃げ切るしか手がありません。

山崎叡王は初日から主導権を奪いに行こうとしますが、PONANZAの厳しい攻めにあい、苦しい状況に追い込まれ、起死回生の手を何度もはなちますが、PONANZAは容赦なく最短経路で勝利を目指す手を指し続けます。

PONANZAは「心」がないため、勝利へのプレッシャーや動揺もありません。ただひたすら厳しい手を指してきます。

山崎叡王の苦しそうな様子は見ていて悲壮感さえ漂っていました。

プロ棋士VSコンピュータソフトの棋戦「電脳戦」は、興業的には成功しているのかもしれませんが、一将棋ファンとしては続ける意味がどこまであるのか疑問に感じています。

スペックが違いすぎるためまったく別の競技のような気がしてなりませんし、人間側は負けても仕方がない、ソフトに勝てば凄いことだ!、という空気が現場に漂っているような気がしてなりません。

ただ二局目も絶対観戦しますし、当然、山崎叡王が勝つところがみたいです!

 

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