男女間の紛争②(婚姻の強制は×編)

2015-03-04

男女が将来、夫婦になろうとする合意のことを「婚姻予約(婚約)」というのは先日のコラムでも書いたとおりです。

そして婚約を正当な理由なく破棄した者は損害賠償責任を負う場合があることを一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか?

本日はそこから一歩進んで婚約の履行を強制することはできるのか、考察したいと思います。

もし婚約の実現を強制できるとすれば、好きな人に隙をみて催眠術をかけてしまい、プロポーズに対して「はい!」と言わせ、婚約成立→無理やり婚姻という方法が横行しないか心配になりますよね?

ですがその心配は要りません。

たとえ国家機関といえども婚約の履行を強制することはできないのです。

その根拠の一つが日本国憲法です。

日本国憲法第24条
婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。

わが国は最高法規である日本国憲法で婚姻は両性の合意のみに基づいて成立すると謳っているわけですから、国があの手この手で当事者が望まない婚約を強制的に実現しようとしても許されません。

国がたとえ無理やり婚姻させる法律を作ったとしても憲法違反で無効となりますし、我々はそんな法律に従う義務はありません。

また、現行の法体系では婚約の履行を強制的する手段はありません。

約束を守らないことについて道義的にはどうなのか?という議論は残りますが、実際問題として婚姻を強制された夫婦が将来に亘ってうまくいくとはとても思えないです(@_@;)

なので婚約を破棄されてどうしても納得ができない方は、最終的には金銭で解決する方向にいかざるを得ないというのが現実です。

 

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