不貞(不倫)問題の解決までの流れ①~請求する側の話~
最近、配偶者の様子がどうもおかしい。
色々と調べてみるとどうやら浮気をしているようだ。
今後どうしたものか?
典型的な不倫にまつわる法律相談に来られた方の冒頭部分はだいたいこのような感じで入ります。
そして話をよくよく聞いていくと、
浮気相手からお金はとれるのか?
浮気をした配偶者と離婚はできるのか?若しくは浮気相手と金輪際、接触しないようにできないか?
という質問に着地することが多いです。
不倫(不貞)の態様のみならず、家族構成から不倫が発覚するまでの経緯も千差万別です。
まったく同じ事実関係の不倫問題というのはありえません。
それでも不倫や浮気といった男女トラブルの事件を嫌になるくらい処理しているとある程度の共通項や解決までの大まかな流れというのが見えてきます。
このコラムでは「不倫(不貞)の立証」というテーマを中心に解決までの流れをお話していきたいと思います。
まず私も法律家の端くれですから相談者のお話を鵜呑みにするわけにはいきません。
必要な事実関係の聴き取りを終えたら、次に相談者の方のお話を裏付ける証拠がどこまで揃っているのかをお聞きします。
不倫、法律用語では不貞(配偶者と異性との間の性的行為)といいますが、私が思うに「これなら不貞の証拠として十分だろう。」といえるハードルは意外に高いです。
といいますのも職業上、やはり相手方がシラを切ってきたときのことをどうしても考えてしまうからです。
相手方がシラをきりとおして万が一、裁判沙汰になった場合、不貞があったことを証明しないといけないのは請求する側です。
なのでなるべく相手方が警戒する前に秘密裏に証拠を固めておいた方が良いという意識が働くのです。
典型的な例を一つあげますと、浮気の証拠としてメールやSNS上のやりとりが出てくることがあります。
ストレートに性体験の感想を述べているものもあれば、二人の間でしか通じない隠語を用いて会話を楽しんでいるものもあります。
ただ二人の親密なメールを見つけて鬼の首をとったかのごとく「浮気をしたな!」と迫るのはちょっと待った方がよい場合もあります。
例えば往生際が悪く(あるいは本当に)「想像の翼を広げて会話を楽しんでいただけだ。」と反論された場合、貴方ならどうされますか?
「何を馬鹿な。」「見れば誰でもわかる。」と問い詰めても頑強に否認されては話が先に進みません。
結局、相手は浮気を認めないままうやむやに終わってしまう、というパターンもあるでしょう。
また、本当に浮気をしていた場合は相手に警戒心を抱かせ証拠隠滅に走らせることにもなりかねません。
こうした場合も想定して、時間と費用と労力と忍耐が許す限り、二の矢、三の矢の証拠を用意しておくのがベターかと思います。
私の感覚からいうとメールやSNSのみの立証ではどうしても決め手に欠けるところがあります。
もちろんメールやSNSのやりとりを配偶者に見せて正攻法で事情を聴取してみたところ素直に自白することもあるでしょうが、夫婦の信頼関係とも絡んできますのでケースバイケースといえます。
私の場合、一般的な方針として浮気発覚の初期段階であれば事案ごとに追加の証拠収集をお勧めすることが多いです。
とにもかくにも浮気メールやSNSのやりとりはきちんと写真などで撮影して保存しておきましょう。
~次回に続く~