離婚のときに知っておくべきお金の話

1 財産分与について

離婚に伴う問題は様々ですが、お金の問題は避けては通れません。
   
離婚に伴うお金の問題とくれば、財産分与、慰謝料、年金分割、親権と絡んで養育費でしょうか。
慰謝料に関しては「不貞、不倫による慰謝料請求と相場」を参照して頂くとして、まず、財産分与についてみてみましょう。
   
離婚をした者の一方が相手方に対して財産の分与を求めることを「財産分与」といいます。
財産分与は、一般的には婚姻生活中に夫婦の協力で蓄積された財産を精算する観点を主として、補充的に離婚によって生活に不安をきたす側の配偶者を扶養する観点から決めていきます。

財産分与は「夫婦の協力で形成された財産」を分ける手続きですから、一方が婚姻前から所有していた財産や、婚姻期間中に取得した財産であっても相手方の協力とは無関係に取得した財産(例・相続財産)は原則として財産分与の対象とはならないと考えられます。
 
また、法律相談で消極財産である債務(借金)の分与の仕方や住宅ローン付き物件の処理について相談を受けることがよくあります。
債務の分与については、財産分与の精算の対象にならないという考え方もありますが、裁判例の中には夫婦共同財産に資産と債務がある場合には、積極財産の総額から消極財産を差しい引いた残額に分与割合を乗じて精算額を決定する、としたものもあります(名古屋家審平成10年6月26日)。

個人的には、夫婦が共同生活を営むなかで生じた債務なのであれば、これを財産分与にあたって考慮することは至極当然のことだと思います。
住宅ローン付き物件の処理については、住宅の価値が住宅ローンを下回る場合は、誰の名義にするのか、どちらが住宅に住み続けるのかでローンの負担者を決めることがあります。

しかし、住宅ローンを貸し付けた金融機関からしてみればローンの負担者を勝手に変更されてはたまったものではありません。
そのため、住宅ローン付き物件の処理については当事者間での関係と対金融機関の関係の2つの視点をもって財産分与手続を進めていく必要があります。

なお、財産分与は離婚の時から2年以内に必ず行ってください(民法768条2号)  
 

2 年金分割について

年金分割は簡単にいうと、公的年金の2階部分にあたる厚生年金ないし共済年金について、年金額を算出する基礎となっている保険料の納付記録を分割し、分割した納付記録を分割請求者に付け替えてもらう制度です。
あくまで納付記録の分割・付け替えであって、相手方が受給する年金を半分もらえる制度ではありませんので注意して下さい。

離婚時の年金分割制度について恩恵を被るのは、一般に婚姻期間が相当長期間に及ぶ専業主婦の方といえるでしょう。
なぜなら、共働きの妻とは違い、専業主婦の妻には自分の厚生年金ないし共済年金の納付記録はありません。
それゆえ、婚姻期間中に相手方が納めた厚生年金ないし共済年金の保険料の納付記録を分割するわけですから、相手方配偶者から年金保険料を納めていた期間が長ければ長いほど分割・付け替えてもらえる納付記録は多くなるのです。
 

3 養育費について

子がいる夫婦が離婚する際には、子の親権者を必ず決めなければなりません。
では、親権者にならなかった親は子の養育に関して何ら義務を負わないのでしょうか?
この点に関して夫婦が離婚したとしても、親権を持たない親の子に対する扶養義務は何ら影響を受けず、養育費という形で扶養義務を果たしていくことになります。

養育費の金額については、当事者間の話し合いで自由に決定することが可能です。
当事者間の話し合いでまとまらない場合は、調停、審判などの裁判手続きを通じて養育費が決定されることになります。

家庭裁判所においては、「養育費算定表」が養育費又は婚姻費用の算定をする際に参考として活用されています。
当事者間での話合いで養育費を決める場合にも「養育費算定表」は参考になります。

http://www.courts.go.jp/tokyo-f/saiban/tetuzuki/youikuhi_santei_hyou/index.html

 

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