誹謗中傷に関係する法律

 

人を誹謗中傷した場合、一体どのような法律に触れるのでしょうか?  
ここでは民法(お金に関する法律)と刑法(刑罰に関する法律)にポイントを絞ってみていきたいと思います。

 
(1)名誉毀損

まず誹謗中傷によって被害者の「名誉」を棄損した加害者には不法行為責任が生じます(民法710条)。ここにいう「名誉」とは人の社会的評価をいい、「名誉を棄損する。」とは人の社会的評価を低下させるか、社会的評価の低下を招く危険性を生じさせることをいいます。
例えば「○○は詐欺会社だ。」「○○は浮気をしている。」とネットの掲示板に書き込んだりする、といった行為がこれにあたります。
なお、ここにいう「名誉」には名誉感情は含まれませんが、名誉感情を侵害することで不法行為責任を負う場合はあり得ます。

他方、刑法では名誉毀損について「公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、その事実の有無にかかわらず、3年以下の懲役若しくは禁錮又は 50 万円以下の罰金に処する。」(刑法230条)と規定しています
法律の文言を素直に読むと刑法上の名誉棄損では「公然性」(不特定多数又は多数人に認識される状態)が要求されており、一見すると民法の名誉棄損とは違うようにも見えますが、いずれにしても社会といえるだけの一定の広がりを有するなかで名誉棄損行為が行われる必要があると考えます。

また表現の自由とのバランスをとるために刑法上、名誉棄損行為であるとしてもその行為に至った理由として、事実の公共性・目的の公共性・真実であることが証明できた場合には違法性が阻却され、罪に問われないことがあります(刑法230条の2)。この考え方は民法上の名誉棄損にも当てはまると言えるでしょう。

 

(2)侮辱罪

刑法では「事実を摘示しなくても、公然と人を侮辱した者は、拘留又は科料に処する」(刑法231条)と規定されています。
事実を摘示することなく人を軽蔑する行為は(例えば人前で「○○はバカ」「○○はブサイク」などと言いふらす行為)、名誉毀損罪ではなく侮辱罪に当たります。

 

(3)その他

誹謗中傷の内容や態様によっては脅迫罪(刑法222条)や業務妨害罪(刑法233条、同234条)に当たることがあります。

 

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