不貞(不倫)問題の解決までの流れ④~請求する側の話~

2015-06-23

貴方は配偶者の浮気を疑い、問い詰めたところ、配偶者は狼狽しながら謝罪をしてきました。

貴方はカッとなって配偶者を責め、白紙を差し出して「ここに私に対する謝罪の気持ちを書きなさい!」と迫りました。

貴方は配偶者の自認書を持って浮気相手を呼び出し対峙することにしました。

貴方:ここに私の配偶者が浮気を認めた謝罪文があります。

浮気相手:え?その紙を見せてください。しげしげ・・

貴方:往生際が悪いですよ!大人しく浮気を認めなさい。

浮気相手:申し訳ないですが、浮気をした事実はありません。

貴方:なんですって?よく読んでみなさいよ!

浮気相手:だって、ここには「貴方を傷つける行為をしたことを深く謝罪します。」とあるだけですよ?浮気の「う」の字もでてきませんよね?

貴方:そ、そんな言い訳通じはずないでしょ!

浮気相手:確かに私は貴方の配偶者さんと一緒に食事に行ったりして、誤解を招きました。その点は謝罪します。どうもすみませんでした。

貴方:絶句。

さて、前回のコラムでは配偶者が浮気を認めたときに証拠化することの大切さをお伝えしました。

今回は浮気を自白したときに一筆とっておく際の注意点をお話します。

冒頭のやりとりを読まれて、どこに問題であったのかは分かりますか?

そうです。浮気の有無はともかく謝罪文の内容が抽象的すぎて配偶者が一体、何の事実関係を認めたのか良くわからないのです。

私の経験上、たとえ貴方が浮気を認めた書面だと思っていてもその内容を冷静になってよく読んでみると非常に抽象的な記載になっているものが散見されます。

例えば「○○を傷つけたことを認める。」「不適切な行為があったことを認める。」といったものです。

ひどいものになると「誤解を与える行動をとったことを謝罪する。」のようなものもあります。「誤解」はシロが前提ですよね??

たとえ抽象的な記載であっても通常は書面の文脈と状況から判断して浮気を認めたとしか思えないものの方が多いですし、大概は自認書を書いた段階で観念して当該書面の出番がまったくない場合もあります。

ただ件数としてそう多くはないのですが、事の真偽のほどはともかくとして、後に浮気を認めた文書ではないとして不貞の有無が徹底的に争われる場合があります。

自認書等に一筆もらう際の注意点は「いつ(から)」「誰と」「どこで」「何をした」のか、明確に記載してもらうことです。

なかには用意した自認書に署名押印をして送り返すよう求めるパターンや経緯書を書くことを求めるパターンもありますが、相手に考える時間や友人などに相談する時間を与えることにもなります。

私ならとりあえず自白した段階で簡単な内容のもので構わないので一筆もらっておきますね。

また、後になって浮気に関する自認書を書いた事実は認めるが「無理やり書かせられた。」「場を収めるためには書くしかなかった。」などの反論を防ぐためにもボイスレコーダーで一筆書いてもらう際の状況を録音しておくのが無難でしょう。

もちろん浮気の事実がないのに無理やり自認書を書かせることは論外です。相手に対する怒りから言葉がきつくなるのは仕方ない側面もありますが、下手すれば強要あるいは脅迫と受け取られかねません。

この辺のさじ加減は難しいですが、過去の裁判例で不貞行為に関する示談契約が脅迫されたものであると主張され問題となった案件(東京地裁判決H18.9.8)が見つかったので参考にみてみましょう。

浮気相手の被告は、請求をした貴方(原告)に対して

「~(略)~被告に対し,金銭的要求をするようになり,「裁判になってもいいのか。」「裁判になれば仕事を休んで秋田まで来てもらうことになる。」「あなたに決定権はないんだ。」などと脅かされ,冷静に判断する暇もなく,金銭支払を強制され続け,平成17年5月28日の本件示談契約締結の際にも,延々約3時間にわたり被告に対して威圧的な態度をとり続けた。」「このような経緯の中で,人生経験豊かな8歳年上の原告に威迫されれば,弱い立場の被告にしてみれば,強迫に当たるというべきであり,本件示談契約は,原告の強迫により締結させられたものである。」

と主張して示談契約の成立に納得がいかないとして争ってきました。

これに対して東京地裁は、

「示談当日の原告の言動について検討するに,上記1で認定・判断したとおり,本件では,被告は原告に対して不貞行為による損害賠償責任を負っていたのであり,その示談のために話し合いの機会を持った場面であることを踏まえて考えると,話し合いの内容によって,場合により,原告において,多少威圧的な言葉遣いとなるのはやむを得ないことであって,このような言動は社会的相当性の範囲内の行為と認めるのが相当であるところ,示談当日のやり取りを録音したテープの反訳書(甲7の1)の内容を見ても,原告の言動に,社会的相当性を逸脱した威迫行為とまで評価すべきものは全く見あたらない。」

と被告の反論を認めませんでした。浮気に関する話し合いの場では紳士的な態度に終始するのは難しい、といういわば当たり前のことを踏まえた妥当な判決かと思います。

~次回に続く~

 

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